メタルヘッドガスケットの考察
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ヘッドガスケットについて悩んでいること。 ①取り外したメタルヘッドガスケットを再使用するか? ②再使用しないとしたら新品をどうやって手に入れるか? の2点。まず①に関しては再使用すると仮定します。その場合、またまた分からないことが出てきます。 A)元々メタルガスケットに塗装してあるバインダーをどうやって剥離するのか?。 B)複数枚から成るメタルガスケットの板材同士の密着面はどうするのか?。 こんなことを考えていたら新たに購入した方が早そうなので②を採択します。日本で購入すると高すぎるので直接海外のメーカーとやり取りします。 物としてはノーマルボア対応のもの(普通にOHするときに使いたい)と今回必要となる85.5φ対応の86φのメタルガスケット。ゼロヨン車両を手に入れた時から交渉していたのですでに2ヶ月くらい経っています。 レスポンスが元々悪いのと途中で担当者が変わったので交渉に時間が掛かっています。そう、未だに現在進行形なのです。なので再び①に戻ります。 年末年始でエンジンは分解完了していたのでメタルヘッドガスケットをバラバラにしてみました。写真は無いですがストッパータイプのガスケットだったので4枚1組でした。ちなみにビードタイプだと3枚1組が多いです。 A)に関しては試しにメタルヘッドガスケットをラッカーシンナーにドブ漬けしてみたところ剥離してきましたので何とかなりそうです。 B)に関しては4枚(もしくは3枚)1組中の上面および下面のガスケットには裏面にもバインダー処理がしてあったため分解して裏面も何らかの処理が必要のようです。 その他にも今回メタルガスケットを色々観察していると ③そもそも7M-GTEのメタルガスケットはこれでいいのか? という新たな疑問が・・・。 |
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この写真はHKS製ストッパータイプのメタルヘッドガスケットを7Mのブロックの上に置いてみたもの。このようにボルト穴やLLCの通路が綺麗に一致しています。 |
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でもこちらは・・・。ブロック側に穴が無い部分にもガスケットには穴。そしてブロックに穴が開いている部分も場所が一致していません。LLCの通路を少し塞いだ形になっています。 |
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私が言っていることわかるでしょうか?。ガスケットをずらすとこうなっているんです。ブロック側の黒いシミの部分がガスケットの穴の部分だと思ってください。そうすると・・・ |
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こういう感じでガスケットが載っていることになります。これって通路を少し塞いでいるのはもちろんですが、しっかりシートしてないからブロックとメタルガスケットの間、もしくはメタルガスケット同士の隙間からLLCがにじむのでは?と思いませんか?。 |
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メタルガスケットの簡単な断面図をCADで描いてみました。上面、基材、ストッパー、下面の4枚から成るストッパータイプを描いてみましたが、ビードタイプの場合はこの図からストッパーの板材だけ省いた3枚組と思っていただければと思います。 こうして見るとピストン部の圧縮圧力はガスケットがヘッドとブロックで押しつぶされた場合、完全に密着しているため圧縮が漏れることは無いと思います。 次に水穴を見てみます。この図のように水穴部分にビードが独立して無い場合には上面と基材の間、もしくは下面と基材の間でLLCが浸入可能です。ストッパータイプの場合は基材とストッパーの間にも浸入できます。理論的には次のビードにぶち当たるまで浸入可能です。 |
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で、それが実際に証明されているのがこの写真。メタルガスケットの真ん中の基材となる鉄板のシミ。実はこの黒いシミの部分はLLCが自由に行き来した跡です。ただ自由にとは言っても行き来できるのはLLCの通路同士だけです。でもこれって嫌じゃないですか?。 LLCの通路にもそれぞれビードが設けられていればこんなことにはならないはずです。ちなみに純正のヘッドガスケットはそれぞれの通路が全て独立しています。 |
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さて同じメタルガスケットでもこちらはTRUST製。こちら側は同じような感じです。 |
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対するこちら側はこんな感じ♪。ちゃんとブロックのLLC通路に合わせてガスケットを製作しています。ただしビードの形状を目で追っていくと結局TRUST製もLLCの通路は独立してなくて行き来できる状態なんです。 |
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今回ヘッドガスケットを色々観察してみて何となく分かってきました。ブロックにちゃんと載っているメタルガスケットはTRUST製。ずらして比較しているのがHKS製。この部分だけ見てみてもメーカーによってビードの入れ方が違うのが分かります。その違いによって皆さんはどんなことに気が付きましたか?。 |
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例えば赤矢印はヘッドボルトが貫通する部分です。この周辺のビードを見てみるとTRUST製はボルトの穴をオイル通路から隔離させています。完全にビードで囲んで独立させていないため極端に言えば外気と繋がっています。ARPのヘッドボルトなんか(スタッドボルト+ナット)を使うと、多分ヘッドからねじの勘合部を伝ってオイル漏れしてくると思います。まあ気が付かない程度かもしれませんが。 |
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形状はTRUST製で水穴やネジ穴にはそれぞれ独立した
ビードがあるタイプのメタルガスケットが欲しいなぁ。
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