スーパーターボへの道 その3

 

概観

 

ではまず1G-GZエンジンの概観を見ていきましょう。ぼんやり見ても分からないので1G-GTと全く違う吸気からサージタンクまでを順に見ていきます。

 

まずは吸気口。クラウンだからかも知れませんが吸気はグリルの真後ろです。位置的にはZ20ソアラより良いと思いますが、何だか物凄く薄っぺらな断面をしております。

 

そしてエアクリーナーからエアフローメーターへ導入されます。吸気口が違うだけで配置などはソアラと同じですね。

 

エアフロを通過した空気は何やら得体の知れない黒い樽みたいなものを通るようです。この黒い樽にはIN/OUT以外に何も配管がなく謎です。まあそのうち分かるでしょう。

 

黒い樽を通過すると次は産業用ポンプの結線ボックスに似た形の金属製の箱が・・・。通常パイピングにこうやって設置されている場合、センサー類が多いと思うのですが、これまた配管も配線も付いていません。謎の物体です。

 

謎の金属箱を横目に通った空気は7Mエンジンではお馴染み?の直管を通ってスロットルバルブへと導かれています。

 

私にとってスロットルから先はまさに新しい世界です。1G-GTや7M-GTではスロットルを通った空気はすぐにサージタンクへ導かれますが、1G-GZでは二通りに分かれます。写真のスロットル右に繋がっているものは一見サージタンクにも見えますがサージタンクではなく、その一部でもありません。単なるパイピングです。サージタンクはこの下にあります。
二通りに分かれるこのパイピングですが太さが違います。写真上方に行くと細く、下方に行くと太くなっています。まずは太い方を見ていきます。

 

太い方はオルタネーター横を通り、予想通りスーパーチャージャーへつながっています。1G-GTや7M-GTはこの位置にエアコンコンプレッサーがありますよね。1G-GZはこの位置にスーチャーが設置されているため、他の補機類が別の場所へ移動し、それにともない配管が全く違った取りまわしになっています。

 

スーパーチャージャーは写真のようにエアコンコンプレッサーと同じように電磁プーリーでON/OFFさせることができます。そして急発進時や高負荷時に電磁プーリーをONにしてトルクを稼ぐように制御されているみたいです(今のところ詳細は分かっていません)。
スーチャーはこのように電磁プーリーのON/OFFだけで簡単に制御できるのが非常に魅力的です。燃費を重視したい、もしくはタービンだけの過給にしたいとかいう時も電磁プーリーをOFFにするだけです(もちろんバイパスバルブの連動が必要)。
ちなみにマーチスーパーターボは4000rpmを超えるとスーチャーはOFFとなりタービンだけの過給となるようです。

 

この写真は分かりにくいですがサージタンクです。写真上部に写っているものがスロットル直後の分岐点です。サージタンクとオイルレベルゲージの間に写っているものがスーチャーを通って加圧された空気が入る場所です。ここで『アレッ?』と思った方は鋭いです。そう、インタークーラーがありません。
あくまでも想像ですがタービンは排熱がエキゾースト側の羽根からコンプレッサー側の羽根へ直で伝わりますし、ハウジング同士からも排熱は伝わり、それに加えて圧縮されたエアは熱を発するため総合すると相当な熱を持っておりインタークーラーが不可欠だと考えられます。
ですが1G-GZにはインタークーラーがありません。時代はバブル期の頃です。コスト云々ではないでしょう。そうなると必要なかったとしか考えられません。そう考えるとインタークーラーの必要性って純粋に空気を圧縮した時に生じる熱を冷やすためというより、排熱によって加熱された空気を冷やすためと考えられますね・・・。少し虚しい気がします。

 

さてスーチャー側ではないもう一方の通路はと言いますと細いゴム配管からアクチュエーターのようなものを通り、サージタンクへと直結されています。まあ単純に考えればスーチャーが起動していない時(電磁プーリーがフリーの時)にココを通るのでしょう。逆に起動している時は閉じているんでしょうね。
よってココのバイパスバルブの制御も重要になってきます。スーパーターボにするならスーチャーのOFFとほぼ同時にこのバイパス配管を全開にしてタービンのみの過給にしないといけません。ただね、細すぎると思います。ここら辺は要加工でしょうね。

  

 

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どうでしょうか?こうやって軽く流れを追っていくだけでも面白いし
色々と勉強になりませんか?これが仕事に生かせたらねぇ(笑)。

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